建物を飲食店として使用する場合には、そのことを使用開始の7日前までに、管轄の消防署に届け出る必要があります。
消防署の方にお聞きすると、この届出をしないままに、飲食店を開業しているケースもあるようです。
店舗の候補物件によっては、「防火管理者」を選任し、「消防計画」を届け出なければならないこともよくあります。「防火管理者」の資格は、すぐに取得できるものではなく、「防火管理者講習会」を受講する必要があり、1か月先の受講予約となるようなこともよくあります。飲食店の開業予定物件が決まったら、まずは消防署に「防火管理者」の設置が必要か相談をしましょう。
大阪市内の消防署では、平日の午前中であれば、予約なしで相談を受け付けてくれるところが多いようです。
「防火管理者」とは
「防火管理者」は多くの人が出入りする建物などで、火災による被害が起きないようにするために設けられている資格であり、飲食店に限って設置を求められるものではなく、普通の店舗や事務所などでも設置が必要な場合もあります。
また、防火管理者は基本的に、いち従業員がなるものではなく、従業員を管理・監督・統括できる地位や立場にある人が選任されなければなりません。
飲食店において防火管理者を置く条件としては、客席数プラス通常店で働く従業員が30名以上の場合には設置しなければなりません。ただ、30人以下でもオフィスビルなどの一部区画を建物のオーナーから借り受けて飲食店として使用する、いわゆるテナント店舗の場合には設置を求められます。ただし、ビルによっては、ビル全体を管理する「防火管理者」がすでに設置されているケースもあり、その場合には、個々の店舗に設置を求められない場合もあります。
ですので、事前に消防署に相談し、確認をする必要があるということです。
防火管理者の種類
防火管理者には「甲種防火管理者」と「乙種防火管理者」があります。
・甲種防火管理者
甲種防火管理者は先ほどの、30人以上の客席と従業員がいる場合で、店舗面積が300㎡以上ある場合に設置義務があります。講習会は2日間で約10時間の内容となります。
・乙種防火管理者
乙種防火管理者は、30人以上ですが、店舗面積が300㎡未満の場合になります。講習会は1日で約6時間の内容となります。
防火管理者の役割
防火管理者の役割は、消防計画の作成と定期的な設備点検、決められた階数の消火訓練や避難訓練の計画、実施となり、店舗の利用、開始の前に消防計画を作成し、店舗を管轄している消防署に届け出る必要があります。
このように、飲食店を開業する前には「飲食店営業許可の申請」だけではなく、消防署への届出が必要になる場合もありますので、ご注意ください。
⇒飲食店営業許可申請や消防への確認に関するご相談は、加賀田行政書士事務所まで。