〇申請手続書類について
申請には「旅館業営業許可申請書」及び添付書類の提出が必要となります。
ここでも、奈良県を例にとって説明します。
→(参考)奈良県旅館業営業許可申請書
申請書について少しわかりにくいかもしれない部分をご説明します。
①営業施設が旅館業法施行規則第5条第1項に該当することの有無
これは、ザックリいうと、「季節的に利用される営業施設、交通が著しく不便な地域にある営業施設(例えば、キャンプ場等において特定の季節に限り営業する施設や交通が著しく不便な地域にある施設であって、利用度の低いもの、体育会等のために一時的に営業する施設など)は、旅館・ホテル・簡易宿所営業の施設の構造設備の基準に関して、厚生労働省令で必要な特例を定めることができるので、そのような施設なのかどうかを教えてください。」というものです。
②旅館業法第3条第2項各号に該当することの有無
これは、申請する個人や法人の役員が、「心身の故障により旅館業を適正に行うことができない者、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、禁錮刑を受けてから3年経過していない者等々」の条件に当てはまっているとちょっと困るので、そうであるのかないのかを告知してくださいというものです。
③玄関帳場等
そもそも、「簡易宿所」営業については玄関帳場を設置する義務は法律上ありませんが、奈良県は条例において簡易宿所においても、玄関帳場やそれに類するものを設置することが条例で定められていますので、その広さや設備の概要を教えてくださいというものです。
④条例第2条第2項に規定する宿泊しようとする者の確認を適切に行うための設備として厚生労働省令で定める基準に適合するもの
厚生労働省の旅館業法施行令および旅館業法施行規則には、宿泊者の確認を玄関帳場で適切に行い、緊急時の対応や宿泊者以外の者の確認ができる設備を備えることが定められています、また、奈良県では条例によって玄関帳簿に対するもっと細かな規定が定められています。ここでは、その設備の状態を記す必要があります。
⑤条例第2条第4項第4号に該当することの有無
これは、浴室やシャワールームが壁等でちゃんと区画され、見えないようになっていますかということを回答する項目です。
⑥条例第2条第4項第5号に該当することの有無
これは、動力で振動したり、回転したりするベッドや寝転んでいる姿を映し出す鏡を設置していませんかということを聞く項目になっています。
次に、申請書の最後に添付書類の欄があります。この部分について少し説明をします。
〇添付書類について
1. 各階平面図
→客室、便所、浴室、洗面設備、玄関帳場、調理室等の状況が把握できるものになります。
2.建物の外壁、屋外の広告物、屋外照明設備等の形状及び色彩を明示した四囲の立面図
→カラー写真の添付でも大丈夫です。
3. 営業施設の設置場所の周囲おおむね 250 mの区域内の見取図
→学校、児童福祉施設、社会教育施設の有無が確認できるものを添付してください。
4. 建築基準法第6条第1項の規定による確認済証の写し
5. 建築基準法第7条第5項の規定による検査証の写し
→マンションやアパート、また都市計画区域・準都市計画区域などの区域内で建築された家屋等は建築時に建築確認申請を行っていますので、確認済証の写しや検査済証の写しを添付する必要があります。確認済証は建築確認申請後に交付され、検査済証は建築工事の完了後に交付される書類です。
もし建築確認済証や検査済証がない場合、建築確認済証の再発行はできません。代わるものとして各自治体で「(建築確認)台帳記載事項証明書」の発行を受けることができます。例えば、奈良市の場合には、「昭和25年の建築基準法施行以降に現在の奈良市域内で確認申請又は計画通知を行った物件」に対して発行可能です。確認しましたところ、建築確認済証の紛失の際には、この書類を提出いただければ大丈夫とのことです。しかし、この書類は建築確認済証自体ではありませんので、旅館業営業許可申請の際には、必ず、申請する所在地を管轄する自治体に確認したうえで申請を行ってください。
6.営業に関し他の法令の規定により許可、認可等を要する場合は、当該許可証、認可証等の写し
→簡易宿所の営業許可申請は、旅館業法に基づく営業許可申請ですので、消防法令適合通知書の交付を消防署より受け、添付しなければなりません。
また、既存の200㎡を超える大きな一戸建てや共同住宅を簡易宿所として営業する場合には、建築基準法上、用途変更(建物の使いみちを別の使いみちに変えるための手続き)が必要であり、また登記の変更も必要となってきます。
7.上水道水又は簡易水道水以外の水を使用する場合は、水質検査成績書
→通常の上水道といわれる水を使用している場合には問題ありませんが、例えば個別の井戸水を使用している場合や住宅団地などで、管理組合が管理している井戸水を使用している場合などは、水質検査成績書が必要となります。
8.申請者が法人である場合は、定款又は寄附行為の写し及び登記事項証明書
→申請者が株式会社などの場合は定款が必要です。寄付行為とは学校法人や医療法人、また財団の目的、内部組織、運営等について定められた基本的規則で株式会社などの定款に代わるものです。
9.玄関帳場の構造図又は玄関帳場に類する設備若しくは宿泊しようとする者の確認を適切に行うための設備として厚生労働省令で定める基準に適合するものの概要を示す書類
→旅館業法施行令においては、玄関帳場に関する規定を設けておらず、旅館業における衛生等管理要領において、「適当な規模の玄関、玄関帳場又はフロント及びこれに類する設備を設けることが望ましいこと。」としています。これに応じて、奈良県では条例において、「施設の規模に応じた玄関帳場その他これに類する設備が設けられていること。」と規定しています。
また、ここでいう“厚生労働省令で定める基準に適合するもの”とは、①緊急時の対応ができること。②宿泊者の本人確認や出入りの確認ができること。③鍵の受け渡し等を適切に行うことができることとなっています。玄関帳場その他これに類する設備は、“厚生労働省令で定める基準”に基づき、各都道府県で判断されますので、事前に確認をするようにしておきましょう。
このように、民泊といっても、認可申請には多くの法令や各都道府県の条例などが関係しているため、行政書士に依頼するのが間違いがなく、時間、労力の点からみても良いでしょう。
次のブログでは、はじめて民泊物件を探される方に読んでいただきたい記事を載せますね。
⇒民泊開業についてのご相談は、関西民泊開業支援センターまで。