前のブログに引き続き、特区民泊において対応すべき事項についてご説明します。

〇滞在名簿の備付けと状況確認

善良な風俗、治安の維持のため「滞在者名簿の備付け」が義務付けられます。
名簿には滞在期間、氏名、住所、 連絡先 、国籍、旅券番号が必要となり、民泊の使用開始時と終了時には対面もしくは映像等の活用により本人確認を行うとともに、長期(7日以上の滞在)の場合には中間で1回、本人が適切に民泊を使用しているかの状況確認が必要になります。

〇契約者以外の滞在の禁止

これも善良な風俗、治安の維持のため、契約をした滞在予定者以外の方が宿泊しないように注意しなければなりません。民泊の場合、宿泊場所に宿泊管理を行う人がいない場合がほとんどだと思いますので、登録した人以外を宿泊させることを禁止する旨やプライバシーに配慮した形で防犯カメラを設置している旨を告知し、玄関部分にのみ防犯カメラを設置するなどの対応が必要になってきます。

〇周辺の住民への説明及び問合せの対応

・事前説明の義務
国家戦略特別区域法施行令には、「特定認定の申請前に、施設の周辺地域の住民に対し、当該施設が国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の用に供されるものであることについて、適切な説明が行われていること。」という規定があります。

(1)説明の対象
また、周辺住民とは省令で、以下のように規定されています。(もう少し細かな規定もあります。)

1.施設を構成する建築物に居住する者
2.施設を構成する建築物の敷地に隣接する土地に存する建築物 (外壁間の水平距離が20 メートルを超えるものを除く。)に居住する者

つまり、マンション等の共同住宅の場合には、マンション等に居住する全員、戸建て等の場合には、周囲20m以内のご近所の方になります。

大阪市の場合には、説明会の開催、欠席者への説明内容の配布等が求められ、その実施内容を認定申請に添付することが求められます。
また、説明の内容は、以下の通りとなります。

(2)説明内容
1.特定認定を受けようとする者の氏名(法人にあっては、その名称及び代表者の氏名) 及び住所
2.事業の概要
3.施設の名称及び所在地
4.苦情等の窓口の連絡先(責任者の氏名、電話番号等)
5.廃棄物の処理方法
6.騒音の発生を防止するための方法
7.火災等の緊急事態が生じた場合の対応方法

基本的に、説明会を開催し、説明書類を配布することで足り、居住者全員の同意を得ることまでは必要とされません。

(3)苦情処理の体制について
民泊開業後においては、24時間体制で民泊施設に駆けつけることができる体制を整備しなければなりません。大阪市の場合、概ね10分程度で駆けつけることができるよう求められています。また、特区民泊の認定申請の際には、施設の周辺地域の住民からの苦情及び問合せへの対応体制及びその説明方法を記載した書面(様式2)の提出が必要となります。

その他、特区民泊の賃貸借契約書(特区民泊の場合は宿泊契約ではなく、国家戦略特別区域において、賃貸借契約及びこれに付随する契約に基づき施設を使用させる事業になります。)に記載すべき事項、区分所有の施設及び転貸等による事業実施についての留意事項、必要な役務の内容及び役務を提供する体制について、衛生措置についてなどが、ガイドラインで定められていますので、必ず確認をお願いします。

次のブログでは、大阪市の特区民泊認定の申請について、少し注意を必要とする部分について説明します。

特区民泊の申請について①

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