〇住宅宿泊事業に関するガイドライン
住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊を行いたいと考えている場合には、所管の自治体にガイドラインや手引きがありますので、必ず確認を行ってください。
例えば、大阪市の場合、「住宅宿泊事業の区域及び期間の制限について」として、市の条例によって以下のように定められています。
つまり、「都市計画法における用途地域のうち、第1種低層住宅専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域又は第2種中高層住居専用地域内において、民泊を行おうと考えている建物の敷地が4m以上の道路(道路法上の道路なので、私道の場合4m以上でもダメなケースあり)に接していない場合には、民泊を行うことができない。」、また「小学校や中学校などの義務教育学校の周囲100m以内では、月曜の正午から金曜の正午まで、民泊事業を行ってはならない。」という内容です。
また、堺市では、「都市計画法の第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域においては、日曜日の正午から金曜日の正午まで(国民の祝日に該当する日は除く)は、住宅宿泊事業を実施することができない。ただし、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託することを要しない住宅宿泊事業には、適用しない。」とされています。
つまり、住宅宿泊管理業者に委託した民泊を行う場合には、一般に言われる住居専用地域では平日は民泊営業ができないということになります。
このような規制は大阪府のガイドラインにはなく、大阪市や堺市が独自で条例で定めているものになります。
関係法令も含め、しっかりと読みこなし、確認しなければ気づきにくい内容となっており、安易に民泊用として住居を買ったり、借りたりすることは危険です。
また、住宅宿泊事業法における「住宅」とはどのようなものを指すのか、例えば、いわゆる3点ユニットバスのように、一つの設備が複数の機能(浴室、便所、洗面設備)を有しているような場合には認められるのか、また、居住といえる使用履歴が一切ない民泊専用の新築投資用マンションの場合は「住宅」とみなされるのか等々です。
かなり細かな規定がガイドライン等で定められています。入居者募集を行っている賃貸物件などを民泊用にと考えている場合など、このあたりの細かなことに関しては、売買や賃貸専門の不動産業者でも精通している場合がほとんどありませんので、後で「しまった!」と後悔するようなことのないようにしてください。
〇物件を確保する前に確認すべきこと
・宿泊場所である「住宅」の条件
住宅宿泊事業は名前の通り、宿泊場所は「住宅」です。では住宅宿泊事業の対象となる住宅とはどのような条件を満たす必要があるのでしょうか。
まず、届出を行うことのできる「住宅」は以下のいずれかに該当する必要があります。
①実際に特定の人の生活が継続して営まれている家屋
②売却や賃貸などで居住用として入居者の募集が行われている家屋
③生活の本拠地として使用されてはいないが、時々居住のために使用されている家屋
③は年数回使用するような別荘やセカンドハウス、将来的に居住することを予定している相続によって所有した空き家などを指します。
また、社宅、寮などはその使用実態に応じて自治体が「住宅」の定義に該当するか判断します。
特に賃借する住宅を宿泊事業に供する場合には、賃貸人(大家さん)がそのことを承諾しているかや、マンションなどで宿泊事業を行う場合には、そのマンションの管理規約や管理組合にて必ず問題がないか必ず確認をしてください。
・「住宅」とは
「住宅」には台所、浴室、便所、洗面設備が備えられていることを必要としますので、近隣の公衆浴場等を浴室として代替することはできません。また、浴室と便所、洗面設備が一緒であるユニットバス等であっても問題なく、浴室はシャワーがあれば足りるとされています。
次のブログでは、届出事項と添付書類について説明します。
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