新しく飲食店を始める場合に、居抜き物件(店舗内の内装・備品が残っている状態の店舗)を探すことも多いかと思います。居抜き物件はスケルトン(床や壁、天井などの内装から設備まで一切とりはらい、建物の駆体が剥き出しになっている状態の店舗)とは異なり、設備や備品・機器等の造作物をお金を支払って譲りうけるのが一般的です。
つまり、店舗の賃貸借契約と設備や備品・機器等の造作物の譲渡契約を行うかたちになります。
よくあるケースとしては、店舗の賃貸借契約は店舗のオーナーと結び、造作物の譲渡契約は、以前にその店舗を借りて設備や備品・機器を設置した従前の賃借人と結ぶというケースです。
造作物の譲渡契約に関して注意しなければならないことがありますので、ここで少し触れておきたいと思います。
①設備や備品・機器などを一括して〇〇円というような譲渡契約は結ばないこと。
設備や備品、機器を一つひとつ確認すると、新しく自分が開業したい店舗には不要なものもあるはずです。一括して〇〇円というような契約をしてしまうと、大型な不用品を処分しなくはならず、それに費用が掛かる場合もあります。そのようなものがある場合には、譲渡人(以前に店舗をやっていた人)と交渉し、少しでも処分の費用代を安くしてもらうことも考えましょう。
②譲渡されるものの項目と価格を明確にすること。
これも①に関係することですが、譲渡されるものの「譲渡資産明細書」(購入時や造設時の価格と購入時や増設時の日を明確にしたもの)をできる限り添付してもらうようにしましょう。厨房の設備や空調の設備などは、固定資産として資産計上しなければならないものが多く、開業してからの経理・決算処理に影響してきます。また、その中にリース品が含まれていないか注意をしてください。
無償譲渡の場合でも、契約書は作成して譲渡を受けてください。
③造作物の譲渡に関して、賃借人(お店のオーナー)の承諾を得てもらうこと。
テナントのオーナーと造作譲渡契約とは関係ないように思いますが、基本的に賃貸借契約終了時には、店舗は原状回復することが前提となります。なので、テナントのオーナーにも居抜きの状態で賃貸借をすることを確認するために、契約書にはその旨を明記しておくようにしてもらいましょう。
④契約の項目には、できる限り以下の内容を盛り込んでもらうこと。
- 譲渡される造作物のリスト
- 譲渡料
- 支払いの方法と期日、遅延した場合の対応
- 引き渡しの期日
- 契約不適合責任
- 現状回復義務の所在と範囲
- 契約解除の条件と違約金
- お店のオーナーからの承諾の有無
居抜き物件を賃貸借する場合、慣れていない不動産屋さん(客付けした不動産屋さん)は上記のようなことをご存じない方も多いようで、後で少し困るようなケースもあります。
飲食店を開業する場合には、必ず飲食店の営業許可が必要ですし、消防署に届出しなければならない書類があるケースも多いです。また、居抜き物件を賃借する場合のアドバイスもできますので、契約の前に行政書士等に相談することをお勧めします。
⇒飲食店営業許可申請に関するご相談は、加賀田行政書士事務所まで。