飲食店を開業する前には、所轄の消防署に事前相談をしましょうということは、これまでのブログで書いてきたことですが、それでは相談後に、消防署に届け出る必要のある書類にはどんなものがあるでしょうか。
消防署に提出する届出書
消防署に提出する届出書は、基本的には以下の4つです。
- 「防火管理者選任届」
- 「防火対象物使用開始届」
- 「消防用設備設置届」
- 「消防計画」
「防火管理者選任届」
消防法で定められた国家資格で、火災被害を予防するための管理・監督業務を担う責任者のことです。防火管理者が必要といっても、すべての建物で必要というわけではありません。建物の規模や用途によって、設置が必要かどうかが消防法によって定められています。
こちらも、飲食店を行う予定の物件が決まったら、すぐに消防署に確認をした方が良いと思います。お店に係わる方(特に防火管理者は、一従業員がなる者ではなく、お店のオーナーやお店の管理権限のある方がなる必要があります。)が、資格を持っていない場合には、改めて資格を取る必要があり、講習会の予約から受講、資格の取得まで1,2か月かかるケースもあります。
「防火対象物使用開始届」
「防火対象物使用開始届」は店舗を使用開始する7日前に提出する必要があります。店舗がテナント店舗のように他の用途にも使われている建物の一部である場合などは、他の部分の消防設備の概要なども記載する箇所があります。
基本的には、「この店舗にはこのような消防設備が施されており、いつから使用予定です。」、「従業員は何人で、店舗として〇時~〇時まで使用しますよ。」という届出書になります。
また、建物の増改築などがあり、消防設備などの設置工事を行う際には、事前に「工事整備対象設備等着工届出」に関する関係書類を提出する必要がありますので注意をしましょう。
「消防用設備設置届」
建物に消防用設備等を新たに設置したときに必要な届出です。設置後、管轄消防署に届出する必要があります。
例えば、自動火災報知設備を新設した場合や増設、移設した場合などには、提出する必要があります。例えば、元々借りた物件に熱や煙の感知器がついていたが、店内の改装で間仕切りを変更し、その部分に新たに感知器を増設する必要になった場合なども、こちらの届が必要ですし、誘導灯を設置、増設するようになった場合にも、届出が必要です。こちらの書類は、「消防整備士」という国家資格を持った人が作成する必要があります。
それ以外にも、「消火器」も消防設備ですので、「消火器」を増設したり、取り換えたりした際にも、こちらの届出が必要です。これらの届出は消防設備会社に設備の設置や増設工事などを依頼し、書類の作成・届出も依頼することがほとんどですが、「消火器」の設置届は「消防整備士」でない方でも作成・届出できますので、費用を安く抑える方法もあります。
「消防計画」
「消防計画」とは、それぞれの防火対象物において、火災が発生しないように、また、万一火災が発生した場合に被害を最小限にするため、実態にあった計画をあらかじめ定め、職場内の全員に守らせて、実行させるものです。
この書類は「防火管理者」の設置義務のある建物の場合に作成が必要になります。また、地域によっては「南海トラフ地震消防計画」を提出する必要もあります。
これらの書類の作成は、それほど難しいものではありませんが、初めて飲食店を開業する方にとっては、書類の作成は大きな負担となりますので、専門の行政書士に依頼をする方が良いかもしれません。
このように、飲食店を開業する場合には、「飲食店営業許可」以外にも、消防関連に関する届出書を提出する必要がありますので、十分に注意をしましょう。
⇒飲食店営業許可申請や消防への確認・書類作成に関するご相談は、加賀田行政書士事務所まで。