〇消防法令

民泊を行う場合において、提供住居が一戸建てなのか、それともマンションやアパートなのか、宿泊室の床面積や家主が居住しているか否かなどによって消防法令上の用途が異なり、求められる消防法令上の対応が違ってきます。
消防法令上「家主居住型」は住戸ごとに、「家主不在型」は「旅館、ホテル、宿泊所その他これに類するもの」またはその部分として取り扱われます。

例えば、一戸建て住宅で民泊を行う場合、住宅用火災警報器を適切に設置しなければなりません。また、家主が不在となる場合や家主は不在とならないが宿泊者が就寝するために使用する室(宿泊室)の床面積の合計が50㎡(約30畳)を超える場合には、旅館、ホテルなどの宿泊施設と同じ扱いとなり、自動火災報知設備や誘導灯の設置、防炎性能の有るカーテンや絨毯の使用、消防用設備等の点検報告などが義務付けられます。

マンションやアパートの場合には上記の義務の他、建物全体の何割が民泊の用途に利用されるかによって建物の消防法令上の対応が異なってきます。
例えばマンションの何室かで民泊を申請する場合には、そのマンション全体で工事などが必要となってくる場合もあります。

上記の他、民泊の消防法令上の用途については、かなり細かく用途判定がなされ、設置、設備も大きく異なります。皆さんが民泊を始めようとされて物件がどれに該当するかをよく確認してください。個人でされようとすると書類の準備等でかなり苦労をされると思いますので、行政書士などの専門家に依頼された方が良いでしょう。

→(参考)民泊における消防法令上の取扱い等について消防法令上の取扱い等について(消防庁)

〇消防法令適合通知書について

住宅宿泊事業の届出の際には、「消防法令適合通知書」をあわせて提出しなければなりません。「消防法令適合通知書」は当該施設を管轄する消防署長あてに交付申請を行い、消防署員による立ち入り検査によって施設が消防法令に適合していることが確認された後に交付されます。

住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊の届出に関して、この「消防法令適合通知書」の添付が義務付けられたのは、令和2年4月からです。

実は、民泊の許認可申請において、この「消防法令適合通知書」を得ることは、かなり骨の折れることになります。民泊用に住戸を借りたり、買ったりしたけれども「消防法令適合通知書」の交付がされないケースもありますので、十分に注意をしてください。
また、大阪市においては実施しようとしている民泊が、「家主不在型」(「旅館、ホテル、宿泊所その他これに類するもの」またはその部分として取り扱われるもの)の場合には、「防火対象物使用(変更)届出」が必要になります。

→(参考)防火対象物使用(変更)届出書

〇消防法令適合通知書交付の流れ

消防法令適合通知書交付の流れは大きく以下のようになります。

 ①事前相談(消防法令適合の事前確認)
   ↓
 ②消防法令適合通知書交付申請(検査日の調整)
   ↓
 ③書類審査
   ↓
 ④検査(立会いが必要)
   ↓
 ⑤消防法令適合通知書交付決定
   ↓
 ⑥消防法令適合通知書交付

事前相談について

最初に民泊予定物件を管轄する消防署に連絡し、事前相談を行います。その際には、建物の図面(平面図や建物配置図、立面図など)、付近の見取り図など可能な限りの図面を用意し、持参してください。用意できない図面があるときなどは、消防署には建物施工時の消防用設備着工届の副本(控え)の添付図面ある場合もありますので、お借りできるかどうかの確認をすることもできます。

事前相談の前に、民泊を行おうと考えている物件が消防法令上の用途についてどれに該当するかや、求められる消防法令上の対応がどのようなものであるかを事前に確認をし、どのような場所にどのような設備、備品等を設置する必要があるのかなどを考えておいてください。

消防法令適合チェックシート

消防法令適合通知書交付申請時に必要な書類について

交付申請には以下の項目が正確に記載された図面の提出が必要になります。

 ・宿泊室として利用する範囲、住宅宿泊事業者が利用する範囲
 ・消防用設備等を設置する場所
 ・宿泊室や押入れの寸法
 ・60㎝以上の垂れ壁の有無

図面は以下のようなものになります。(大阪市消防局「住宅宿泊事業に係る消防法適合通知書交付申請書の手引き」より抜粋)

その他、届出する住宅や建物の状況によって必要となる書類がありますので、担当の消防署の方にしっかりと説明を受け、準備をしてください。
なお、設備の設計や施工などを専門としている会社もあります。必要な図面作成も依頼できますので、活用を考えられてはいかがでしょうか。

〇防火管理者の設置と防火管理体制の整備

民泊はホテルや旅館などと同様に、消防法施行令上、特定防火対象物となりますので、収容人数の少ない民泊は問題ありませんが、30人を超える場合には防火管理者の選任が必要になってきます。(50人を超える場合などは、より深い内容の講習を受講した防火責任者の選任が必要です。

防火管理者とは、防火管理に係る消防計画を作成し、防火管理上必要な業務(防火管理業務)を計画的に行う責任者を指します。防火管理上必要な業務とは消防計画の策定や消防訓練、防火設備の点検などです。

防火管理者の資格は防火管理者講習の受講により得ることができます。各自治体のホームページや一般財団法人防火・防災協会のホームページから実施内容や実施日を確認することができます。

→(参考)大阪市 防火・防災管理等講習のご案内
→(参考)一般財団法人防火・防災協会 防火管理講習

次のブログでは、廃棄物の処理に関する事項について説明します。

廃棄物の処理について

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