新型コロナウイルス感染症が令和5年5月8日に5類感染症に移行されてから、私の住む大阪でも以前のように多くの外国人観光客の方が見受けられるようになりました。環状線や地下鉄に乗車していても、日本人よりも外国の方のほうが多いのではないかと思うぐらいです。
2025年には大阪万博が開催されますので、宿泊事業拡大の動きがあり、知り合いの不動産屋さんからも民泊用の収益物件として賃貸マンションや戸建てを探してほしいという依頼が多いと聞きます。
このブログでは、民泊についての大まかな説明と特に大阪で民泊を始めたいと考えていらっしゃる方に対しての情報を提供させていただきます。大阪以外で民泊事業を考えている場合にも必ず役に立つと思いますので、是非お読みください。
〇そもそも民泊とは
民泊とは「住宅」の全部または一部を旅行者等へ宿泊場所として提供することをいい、ホテルや旅館と根本的な概念が異なります。「住宅」は個人の家(戸建て、マンション、共同住宅等)、家主から賃借し投資のために民泊として貸し出す「住宅」も含まれます。
「住宅」を宿泊施設として利用しますので、公衆衛生の確保や特に近隣住民への説明や苦情の対応等が求められます。
〇民泊の形態
民泊と一言で言っても実は大きく①旅館業法に基づく民泊(簡易宿所)、②国家戦略特別法に基づく民泊(特区民泊)、③住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊、の3つの形態にわけることができます。
各々の民泊の形態の違いによって、年間の営業日数や宿泊日数の下限、客室面積、衛生に対する措置などが異なりますし、営業開始のための許認可の方法も異なります。
①旅館業法に基づく民泊
旅館業法に基づく民泊とは、簡易宿所(宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設で、比較的低額で利用できる宿泊施設)として営業を行い、年間に営業できる日数の制限がありませんので、大きな売り上げを上げることも可能です。
客室の面積は33㎡以上(10名未満の場合は、人数×3.3㎡以上)が必要で、換気、採光、照明、防湿、清潔などの衛生措置を施さなければなりません。
旅館業法に基づく民泊の許認可に関しては、自治体の許可が必要になります。
②国家戦略特別法に基づく民泊(特区民泊)
国家戦略特別法に基づく民泊とは旅館業法の特例で、国で特別に指定されている区域(産業国際競争力や国の成長戦略を進めるために規制や制度の緩和や特例が認められている区域)において、認定を受けて民泊を行う方法です。国際競争力や成長戦略といっても宿泊できるのは外国人に限定されず、日本人でも宿泊が可能です。
①の旅館業法に基づく民泊と同様に年間日数の制限はありませんが、2泊3日を下限とした宿泊日数という規制があります。(1泊2日の宿泊はできません。)
客室の面積は一つの居室で25㎡以上必要であり、換気、採光、照明、防湿、清潔などの衛生措置を施さなければなりません。また、自治体に認定される前までに、近隣住民への説明が必要です。
国家戦略特区において特区民泊が認定されている地域は以下の8地域ですが、認定されている地域のすべてで特区民泊を実施できるわけではありませんので注意してください。
・新潟市
・千葉市
・東京都大田区
・大阪府
・大阪市
・八尾市
・寝屋川市
・北九州市
大阪エリアは全国の中でも広い範囲で特区民泊の認定を受けることができます。具体的には以下の各自治体のホームページよりご確認ください。
→大阪府
→大阪市
→八尾市
→寝屋川市
③住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊
上記①、②とは別に平成29年6月から、新しい形態の民泊を開業することができるようになりました。
住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊は、そもそもの民泊の概念どおり、住宅を他人に宿泊させ宿泊料を受領する事業をいいます。ですので、年間の営業日数は180日以内と規定されています。また、②の国家戦略特別区域法(特区民泊)と異なり、宿泊日数の下限はありませんので、1泊だけの短期宿泊でも問題はありません。
客室面積も一人当たり3.3㎡と定められているだけですので、例えば自宅の6畳一室(約9㎡強)を2人分の客室として提供することも可能になります。(ただし、部屋には窓が必要)
衛生措置としては、定期的な清掃を施さなければなりません。また、自治体に認定される前までに、近隣住民への説明が必要です。
住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊の許認可に関しては、自治体への届出が必要になります。
次のブログでは、各々の許認可の違いについて説明します。
⇒民泊開業についてのご相談は、関西民泊開業支援センターまで。