住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊において届出が必要な項目及び添付書類について、少しわかりやすく説明させていただいた方がよいかな?と思う部分(赤字表記部分)について簡単に解説します。

〇届出の必要な項目

管理委託契約の内容
住宅宿泊管理業務を委託する場合には、委託業者の商号や氏名、登録番号や登録年月日を記載します。管理委託契約の内容に関しては、「別添の管理受託契約の写しのとおり」と記入し、管理業者との間で締結した契約書のコピーを添付すれば大丈夫です。
また、自らが管理業者である場合には、その登録番号と登録年月日を記載する箇所がありますので、そちらに記入してください。

住宅の不動産番号
住宅の不動産番号とは、登記簿謄本の表題部に記載されている13桁の数字を指します。不動産番号は住宅の所在場所を所轄している法務局で調べることができます。ただし、コンピュータによるデータ化がなされていない登記簿には不動産番号がありませんが、地番と家屋番号で不動産を特定できる場合には不動産番号に記載を省略することが可能です。(登記されていない不動産は除かれます。

住宅に人を宿泊させる間不在とならない
「住宅に人を宿泊させる間不在とならない」とは、事業者が一時的な不在例えば最寄りスーパーへの買い物等)を除いて不在とならない場合を指します。届出書にはチェックボックスへのチェックにより申告をします。また、共同住宅などで複数の住宅を宿泊施設として活用する場合には、その共同住宅ごとに判断します。

賃借人、転借人
賃借人(賃借する人)、転借人(転借する人)の親族が賃貸人(賃貸する人)、転貸人(転貸する人)も含まれます。

区分所有建物の場合、管理規約に禁止する旨の定めのないこと
一般に分譲マンションは、一つの住居を区分して所有する形態となっています。しかし、住居以外の廊下やエントランスなどは、他の区分所有者(他のマンション居住者)と共有し、共同使用する部分になりますので、マンションの管理組合があり、管理規約が定められている場合がほとんどです。
分譲マンションの一室を不特定多数の方に宿泊を目的として貸し出した場合には、当然のことながら宿泊客は廊下やエントランスを使用します。
ですので、分譲マンションなどを民泊として使用したいと考えている場合には、必ず、管理規約を確認してください。管理規約に明記されていない場合には、管理組合に対し、民泊を禁止する意思がないことも確認をしてください。

このほかにも、届出しなければならない項目には、細かなルールや事前確認をしなければならないことが多くありますので、時間的な効率と間違いのない届出を行うため、行政書士などの専門家に依頼するほうがベストだと思われます。

〇届出における添付書類

住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊において届出時に添付が必要なものは以下の通りです。こちらも少し説明が必要かな?と思う部分(赤字表記部分)は後で簡単に解説します。なお、大阪市の場合、開業場所によって別途添付の必要となる書類があるなど、自治体によって少し異なる場合もありますので、必ず、届け出先(各自治体)のガイドライン等を確認してください。

欠格事由
欠格事由に該当する者とは、住宅宿泊事業法第4条によって規定されている「住宅宿泊事業を営んではならない者」を指します。例えば、個人では「心身の故障により住宅宿泊事業を的確に遂行することができない者として国土交通省令・厚生労働省令で定めるものに該当する者」、「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」、「禁錮以上の刑を処せられ、又は住宅宿泊事業法若しくは旅館業法の規定により罰金の刑に処せられ、その執行が終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過しない者」などが該当します。また、法人の場合には、その役員が住宅宿泊事業法第4条の一部に該当する場合などをいいます。

入居者の募集が行われていることを証する書類
この書類は該当者だけが必要になります。売却用や賃貸用として入居者を募集している物件を民泊用として使用する場合には、その募集広告のコピーで大丈夫です。

随時その所有者、賃借人又は転借人に居住の用に供されていることを証する書類
この書類も該当者だけが必要になります。随時その所有者、賃借人又は転借人に居住の用に供されている家屋とは、常に居住用として利用している住宅ではなく、別荘やセカンドハウスなどが該当します。ですので、その別荘やセカンドハウスを利用したことを類推できる書類(例えば近隣で買い物をした時の領収書など)を用意しましょう。

住宅の図面
住宅の図面には、台所、浴室、便所、洗面設備の位置の他、非常用照明器具の位置など必ず記載が必要な項目が決められています。
自宅や賃貸用不動産を民泊として活用する場合には、それに適した図面がない場合もありますので、その場合には手書き図面に必要事項を記載し提出しましょう。

賃借人が承諾したことを証する書類、賃借人及び転借人が承諾したことを証する書類
この書類も賃借物件や転借物件を活用する方だけが必要になります。特に決められた書式はありませんので、賃貸人等が「届出者が住宅宿泊事業の用に供することを目的とした賃貸(もしくは転貸)を承諾した旨」と不動産の所在や不動産番号などを記した承諾書を用意しましょう。

区分所有建物の場合の規約の写し
区分所有建物とは分譲マンションなどで一つの住居を区分して所有する形態のものをいいます。賃貸物件でも区分所有建物を貸し出している場合とオーナーが一棟所有しているうちの一つの住居を貸し出している場合があります。
区分所有建物の場合は、共用部分に権利を持つ他の区分所有者がいますので、マンションの管理規約で住宅宿泊事業を許容する旨の規定がある場合には、その規約の写しを用意してください。
ただ、民泊の大きな流れが起こってからまだそれほど年月が経っていません。国土交通省もマンション管理規約のひな型である「マンション標準管理規約」を改正し、住宅宿泊事業を可能とする場合と禁止する場合の双方の規定例を示しマンション管理規定の改定を促してはいますが、まだ管理規約で民泊を許容する旨を記載しているケースも少ないと思います。
その場合には、管理組合に対し住宅宿泊事業の実施を報告し、住宅宿泊事業を禁止する管理組合の意思がないことを確認した旨を記載した誓約書を添付する必要があります。
分譲マンションを賃貸し、民泊として活用しようと考えている場合には、このあたりの知識が少ない不動産屋さんも中にはありますので、後でトラブルにならないように十分に注意をしてくださいね。

管理業者から交付された書面の写し
住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊において、「家主不在型」の場合には、自らが住宅宿泊管理業者でない場合には、管理委託業務を委託する義務があります。その場合には、管理委託契約書を締結する必要がありますので、その契約書の写しを添付してください。

大阪市では条例で別に届出事項が定められていますので、次のブログで説明します。

大阪市の届出事項

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