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〇定款に必ず記載しなければならない項目(絶対的記載事項)とは
〇絶対的記載事項にもルールがある
〇絶対的記載事項とは
絶対的記載事項とは株式会社の定款に必ず記載しなければならない項目です。この記載事項をがないと定款は無効になります。絶対的記載事項は全部で6項目ありますが、そのうち5項目は定款を公証人に認証してもらうまでに決定して記載しておかなければなりません。そのほか1項目は、認証後、株式会社が設立するまでに定款を変更して定めても大丈夫です。しかし小さな会社を設立する場合には、はじめから定款に記載しておくほうが良いでしょう。
(1)絶対的記載事項・・・認証までに定めておくもの
1.商号
各個人に名前があり戸籍が登録されているように、株式会社にも名前をつけ法務局に登録しなければなりません。
ただし、名前を付ける場合においても色々なルールがあります。例えば「株式会社サクセス!」という会社名にしたいと思っても「!」は会社名として登録できません。このように、使用できない文字もあります。そのほか、必ず株式会社の商号には「株式会社」を入れなければならない、公序良俗に反する言葉を使うことはできないなどなど。また、商標登録されている他の会社の商品などに類似している名前を使うことも避ける必要があります。
2.目的
定款に記載する目的(事業目的)は株式会社を設立して実際に行おうとしている事業内容のほか、将来的に行う可能性のある事業、やってみたいと考えている事業を記載することがよいでしょう。例えば、会社を設立後、無事に経営も安定し、やってみたいと考えていた事業に乗り出す際、定款に記載がなければ、改めて定款を変更する必要がありますので、登録免許税や司法書士への報酬などの諸費用が必要になります。
例えば、インターネット関連の事業を立ち上げる際に、当初実施する事業として、下記の目的を記載した場合、
・Webサイト、インターネットを利用した各種コンテンツの企画開発
・Webサイトの構築、運営、管理
近い将来的にやってみたいと考えている業務として、
・インターネットのシステムコンサルタント業務
・インターネットサーバー設備の販売、賃貸、保守管理
などを追加しておくなどということです。
3.本店の所在地
本店の所在地とは、株式会社の本拠地となる住所です。自宅でも貸事務所でも、レンタルオフィスでも登記が可能です。また会社のイメージアップのために実際に事業を行わないバーチャルオフィスでも本店の所在地とすることが可能です。法律上の制限は特にありません。また、法人登記後に本店の所在地を変更することも可能です。ただし、銀行での法人口座の開設や融資、自治体からの助成金を受ける際に、本店の所在地によっては支障が出るケースもありますので、その決定は慎重に行う必要があります。
4.設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
「設立に際して出資される財産の価額またはその最低額」とは株式会社設立後の資本金(会社運営するにあたっての元手資金)に相当するものです。会社法の改正によって2006年5月1日から出資は1円からでもよくなりましたので、この項目は1円としてもよいのですが、法人の登記簿は誰でも閲覧できますので、信用の面からも実質的に出資する金額を記載するのがよいでしょう。300万円を出資するのであれば、「当会社の設立に際して出資される財産の価額は、金300万円とする。」などと記載します。また、この場合、「当会社の成立後の資本金の額は、金300万円とする。」とすることもできますし、資本金の最低額を記載しておいて、具体的な資本金額は定款作成後に決定することも可能です。
5.発起人の氏名または名称及び住所
会社を設立する場合には、資本金を出資し、定款を作成し、その他必要な手続きをする人が必要です。会社法第26条第1項において以下のように定められています。
「株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。」
つまり、基本的にお金を出資し、会社を設立しようとしているあなたが発起人となりますので、ここで述べている定款を作成していかなければなりません。発起人は会社設立後、その出資した資本金に見合った株式を引き受け、会社の株主となります。なお、ここで名称と記載されているのは、発起人は自然人(生きている人)だけでなく、法人もなることができるので、名称と書かれています。
(2)絶対的記載事項・・・認証後に定めてもよいもの
絶対的記載事項のうち発行可能株式総数は、発起人全員の同意によって株式会社が設立するまでに定款を変更して定めてもよいのですが、認証の前の定款で定めておくことをお勧めします。
6.発行可能株式総数の決め方
発行可能株式総数の決定とは、会社が発行できる株式総数を何株までにするかを決めることになります。
例えば、会社設立時に資本金を300万円とし、1株当たりの金額を5万円にした場合、60株を発行することになります。これを基本として、将来的に資本金3000万円まで増加させたいと思っている場合には、発行可能株式総数は、600株とすればよいのです。株式会社を設立する時点では、あくまでも近い将来の目標として決定すれば大丈夫です。後で、発行可能株式総数を変更することも可能です。
では、一株あたりの価格をいくらにすれば良いかということですが、上の例で300万円を資本金とした場合、1株1円として300万株とすることもできますし、1株300万円として、1株だけとすることもできます。実際には1株当たり5万円または1万円とすることが多いようです。小さな会社を設立する場合には、1株あたりの価格をあまり大きくせず、1万円にするのがわかりやすく、また将来的に小口の出資者を募集し、資本金を大きくする場合のことを考えても適していると思われます。ただし、これまでにない新しい技術やアイデアで事業展開を行うベンチャー企業などでは資金の調達のために株式を譲渡することや会社のメンバーに株式を渡していくことが想定されますので、1株あたりの金額や発行可能株式総数をもっと大きくするなども考える必要が出てきます。このあたりに関しては専門家の意見を聴くなどして十分に検討してください。
以上の1から6の項目が記載できれば定款の完成ですが、定款にはその他にも決まった記載のルールがありますので、早く正確に定款作成をするには、プロに任せたほうが無難かもしれません。
会社を設立する際の定款には、そのほかに相対的記載事項(記載がなくても定款は有効ではあるが、定款に記載しておかなければ対外的に効力を有しない事項)や、任意的記載事項(定款に記載しなくても会社の規定等でも定めることができる規定)などがあります。
次に、相対的記載事項について説明しますね。
→会社設立に関するご相談は、加賀田行政書士事務所まで。