借地権(建物の所有権と土地を利用する権利)は財産であるということを「1.借地権の相続について」で述べましたが、財産である以上、借地権者が死亡した場合には、当然に相続の対象となります。

ただ、借地権を持った被相続人が死亡した場合、その残された相続人が借地権を相続するのに、地主さん(土地の所有者)の承諾が必要なのかという疑問が残る方も多いと思います。

答えとしては、借地権を相続する場合には、特別な地主の承諾は不要なのです。ですので、土地の賃貸借契約書を書き換える義務も発生しません。ただ、地主さんに相続があったことを告げれば大丈夫です。

この土地の賃貸借について定めた借地法(旧法)は今から、100年以上も前に定められたものであり、1992年に借地借家法として改正、施行されました。つまり、100年以上も前から、借地権や借地権の相続があったということです。

このような長い歴史があるので、相続が発生した後に、いろいろと地主さんや借地人さんに困ったことが起こるケースもあります。

例えば、もうすでに亡くなっている地主さんのひいおじいちゃん(曽祖父)と借地人のこれまたひいおじいちゃんが契約した土地賃貸借上の建物にお孫さんが住んでいるケースなどもあると思います。土地の賃貸借契約書はお互いのひいおじいちゃんが署名押印しているけれど、実際の土地の現所有者と建物の所有者が契約者とは異なる、また、建物は所有権の変更登記がされていなく、実際に現在住んでいるお孫さんに所有権があるのかも不明。。。というような場合もあると思います。

また、借地人に相続人がいない場合や、相続人が全員相続放棄をしてしまった、相続人がいるのかどうかも不明、というようなケースもあると思います。つまり、地主さんの土地の上に、誰も相続していない建物と土地の賃貸借の権利が残っている状況になります。このような場合にでも建物の所有権は地主さんにはありませんので、勝手に家を取り壊すことはできません。そのような場合、地主さんには誰も地代を払わず、かといって地代の未払いによる契約の解除を申したてる相手もおらず、無人の残された建物が放置され、朽ちていく。。。といった困った状況が発生します。

次のブロブでは、地主さんとしてはどのように対処していくのが良いのかについて触れていきたいと思います。