小さな会社の設立で取締役になった人は一般の従業員ではなく役員ですので給与ではなく役員報酬を受け取ります。
役員報酬の決定は従業員の給与と異なり、いろいろなルールがあります。
☆このページのPoint
〇役員報酬は会社設立から3か月以内に決定する
〇役員報酬金額決定の考え方とは
〇金額を決める時期
役員報酬の金額は、会社を設立した時から3か月以内に決定する必要があります。その後に決定したとしても報酬を損金として計上できなくなりますので、会社の税負担が大きくなります。また、役員報酬は各事業年に対して決定し、原則としてその事業年度中は変更できません。変更をする場合は次の事業年度の開始から3か月以内となります。
〇役員報酬の決め方
役員報酬は、定款または株主総会の決議によって決定します。小さな会社の設立の場合には、発起人=取締役=株主という形態が多いと思いますので、株主総会(株主による意思決定機関)で決めることが多いでしょう。株主総会といっても株主がすべて家族である場合には家族会議を株主総会としても問題ありませんし、友人数人で起業した場合には友人との話し合い(会議)で決めることになります。ただし、議事録は残しておくことが必要です。
役員報酬の金額については、その会社の実態によって考えていく必要があります。会社を設立するまでに、個人事業主としてその仕事を行っており、凡その売上や経費が読める場合には、役員報酬の目安を立てやすいかもしれませんが、新たに起業する場合には、事業計画をしっかりと立て会社の売上や経費の見込み、役員の生活費等を勘案し慎重に検討する必要があります。
役員報酬を高くしすぎた場合には会社の税負担が少なくなるというメリットがありますが、それに見合った売り上げが確保できない場合には、資金ショートの可能性もあります。反対に役員報酬をゼロにして当面の生活は預貯金で凌ぐことも可能ですが、役員報酬をゼロにしても赤字が続くようであれば銀行から融資を受けるのも困難になってくるでしょう。また、役員報酬をゼロにした場合、仮にその役員(取締役など)に他の収入などが全くない場合には、役員は社会保険(健康保険や厚生年金)に加入することもできません。(ただし、国民健康保険や国民年金に加入することは可能です。)
立ち上げ当初といっても毎月の売り上げや粗利、固定費を予測し、しっかりと事業運営を行い、会社の経営に負担を与えず、かつ役員が日常生活を送れるだけの役員報酬額にするのが妥当だと思います。
役員報酬は月額報酬として受け取る場合には、原則的に特別な届出は必要ありませんが、ボーナスを受け取り、損金として参入する場合には事前に確定届出が必要となります。
税金の関係において、役員報酬の金額によって会社にとってのメリットやデメリット、役員個人にとってもメリットやデメリットがありますので、税理士さんなどの専門家に確認するのが良いと思います。
次のブログでは、税金関係の届出についてご説明します。
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